Fuchs, C., Ramelli, F., Schweizer, D., Lohmann, U., and Henneberger, J. “Putting the spotlight on small cloud droplets with SmHOLIMO – a new holographic imager for in situ measurements of clouds.” Atmos. Meas. Tech., 18, 2969–2986, 2025. https://doi.org/10.5194/amt-18-2969-2025
雲は地球の気候において重要な役割を果たしており、太陽放射や地球放射との相互作用を通じて放射収支を調節する。雲の微物理的特性を定量的に理解するうえで、雲粒径分布(CDSD:Cloud Droplet Size Distribution)は基礎となる量であり、雲の形成・発達過程、降水の生成効率、光学的特性などに関する情報を提供する。こうした特性を現場で直接計測する手法として、デジタルインライン全像撮影(ホログラフィー)が40年以上にわたって活用されてきた。全像撮影とは、コヒーレント光(レーザー光)を粒子群に照射した際に生じる干渉縞をカメラで記録し、数値的に再構成することで粒子の三次元的な位置・形状・粒径を同時に取得できる計測技術である。この手法は、入射流速が変動する地上設置型や気球搭載型の装置でも使用可能であり、粒子の形状・相・屈折率に関する仮定を必要としない点で優れている。
しかし、従来の全像撮影装置では、分解能と標本体積が物理的にトレードオフの関係にあるため(標本体積は分解能の4乗に比例して減少)、実用的な分解能の下限はおよそ6〜10 µmに制限されていた。この制限により、直径6 µm未満の微小雲粒、特に雲底付近で形成直後の雲粒を正確に計測することが困難であった。一方、前方散乱型の粒径測定装置は2 µm程度の分解能を持つものの、粒子形状・屈折率に関する仮定が必要であり、流入速度が一定の移動体(航空機など)を必要とするという制約がある。この空白域が、雲微物理モデルにおけるパラメータ化の不確かさにつながっていた。
そこで、本研究ではSmHOLIMO(Small Holographic Imager for Microscopic Objects)を新たに開発することによって、この問題を解決した。本装置には、Cobolt社製の405 nmレーザー(Cobolt 06-MLD、波長409 nm(波長公差のため実際は409 nm)、出力150 mW)が搭載されており、自作の制御回路によって220 nsの短パルス発振モードで動作させることで、運動する雲粒の像のぼけを抑制し、高分解能な全像記録を実現している。SmHOLIMOは3.7〜約100 µmの粒径範囲を計測可能であり、スイス高原上の低層層雲を係留気球に搭載して観測した野外実証では、既存の全像撮影装置(HOLIMO、分解能6 µm)と比較して、雲底付近における雲粒数濃度の最大4倍の過小評価、平均粒径の最大1.6倍の過大評価、および雲の光学的厚さの最大2.7倍の相違を明らかにした。これにより、微小雲粒の計測が雲の放射特性推定において不可欠であることが実証された。

※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
論文で使用されたCoboltのレーザー

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