Husain, A., Yerolatsitis, S., Amezcua Correa, R., and Han, K. Y. “Photonic lantern TIRF microscopy for highly efficient, uniform, artifact-free imaging.” Optics Express 32(21), 37046–37058 (2024). https://doi.org/10.1364/OE.533269
全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡法は、ガラスと試料の界面で全反射を起こし、エバネッセント波によって試料表面から数百ナノメートル以内の蛍光分子のみを励起する手法であり、高い信号対背景比で生体試料の表面構造を可視化できることから、細胞生物学分野で広く活用されている。対物レンズ型TIRFでは、開口数1.4以上の対物レンズを用い、励起光を対物レンズの後焦点面の最外周部(TIRF領域)に集光することで全反射条件を満たす。複数のファイバを融合・テーパ加工して単一のマルチモード入力から複数の単一コア出力へ低損失で光を分配する導波路素子であるフォトニックランタンは、光コヒーレンストモグラフィや計算イメージングなど様々な撮像応用に利用されてきた。
しかし、従来のTIRF顕微鏡法では、励起光が試料の構造物によって遮られることで散乱や影の偽像が生じる問題があった。これを防ぐために走査鏡やデジタルミラー素子などの走査装置を用いて励起光を回転させる手法が提案されてきたが、装置構成が複雑化し精密な調整が必要となる欠点があった。また、環状マスクやアキシコン光学系を用いる方法は光損失が大きく、環状ファイバ束を用いる方法は結合損失が避けられず、高出力励起を必要とする超解像顕微鏡法には不向きであった。
そこで、本研究では9本の出力コアを環状に配置したフォトニックランタンを設計・作製し、走査装置を用いることなく9方向から同時にTIRF励起を行う手法を開発した。この手法により、結合効率91%以上を達成しつつ、50×50 μm²の視野にわたって均一な照明を実現した。Cobolt社製640 nm半導体レーザー(Bolero)は単一分子局在顕微鏡法における励起光源として使用され、Alexa Fluor 647で標識した微小管の超解像撮像において、視野全体で平均局在精度約17〜19 nmの高品質な画像取得を可能にした。さらに、生細胞の小胞体動態の無影撮像にも成功し、本手法の実用性が実証された。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
全反射照明蛍光TIRFで使用された640nmレーザー
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