Veetil, A.K., Kotsanos, A., Wang, A.Y., Hajikarimi, F., Fortner, J., Zhulficar, Z., Afriyie, E., Wang, Y. “Writing DNA Bases into sp3 Quantum Defects.” Research Square, 2026. https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-8972999/v1
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)のsp2格子にsp3量子欠陥を導入した有機色中心(OCC)は、深い励起子トラップを形成し、短波赤外領域において明るく鋭い発光を示す。これらの共有結合性欠陥は、本来弱い発光しか示さないナノチューブを、室温でも単一光子を放出可能な量子発光体へと変換できることから、生体イメージング、センシング、疾病検出への応用が期待され、近年急速に研究が進められている。一方、DNAは比類なきプログラム可能性で分子情報を符号化でき、一本鎖DNAはSWCNTに非共有結合的に巻き付き、核酸塩基がナノチューブ界面に空間的に配置された秩序構造を形成する。
しかし、従来のsp3欠陥導入法は、アリールジアゾニウム塩や酸化試薬など自由拡散する小分子に依存しており、欠陥の導入が確率論的となり、化学的同一性や空間分布の制御に限界があった。また、酸化的手法では浅いsp2欠陥しか得られず、リンカーやハロゲン化ヌクレオチドを用いる手法ではDNAの合成的修飾が必要であり、天然の核酸塩基の同一性を欠陥エネルギーに直接反映させる一般的な化学的枠組みは存在しなかった。
そこで、本研究ではSWCNT@DNA複合体内でその場ジアゾ化反応を行うことにより、天然の核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン)の一級芳香族アミンを選択的に活性化し、塩基特異的な光学特性を持つsp3量子欠陥の形成に成功した。チミンはアミンを持たないため化学的に不活性であり、プログラム可能なスペーサーとして機能する。欠陥の発光エネルギーは塩基の電子構造に依存し、時間依存密度汎関数理論計算とも一致した。Cobolt社製561 nmレーザーは、(6,5)-SWCNTのE22遷移と共鳴する光励起により、ジアゾニウム中間体の共有結合形成を促進する光トリガーとして使用された。DNA鋳型により欠陥導入の均一性が向上し、分子配列情報から量子光学機能への直接的な化学的橋渡しが実現された。

※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
単層カーボンナノチューブを励起した561nmレーザー
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