Guhl, J., Sretenović, D., Schmeinck, P., Felekyan, S., Kühnemuth, R., Ganter, C., Seidel, C. A. M., Marian, C. M. and Suta, M. “How to tune luminescent Cu(I) complexes with strong donor carbenes towards TADF?” J. Mater. Chem. C, 2024, 12, 10036–10052. https://doi.org/10.1039/d4tc01487a
有機発光ダイオード(OLED)は、1980年代の先駆的研究以来、四世代にわたる発展を遂げてきた。第一世代の蛍光発光体は電気的に生成される励起子の最大25%しか利用できないのに対し、熱活性化遅延蛍光(TADF)を利用する第三世代は理論上100%の内部量子効率を達成可能である。TADFとは、一重項-三重項間のエネルギー差が小さい場合に、熱エネルギーによって三重項状態から一重項状態への逆項間交差が起こり、遅延蛍光として発光する現象である。Cu(I)錯体は、高価な貴金属を必要としないTADF発光体として注目されており、d10電子配置により金属中心励起が抑制されるため、配位子解離が起こりにくいという利点がある。
しかし、Cu(I)カルベン錯体においてTADF特性を発現させるための分子設計原理は、主にπ酸性のN-ヘテロ環カルベン配位子に依存しており、純粋にσ供与性のカルベン配位子を用いたCu(I)錯体の研究は依然として限られている。また、電子欠乏性のCu中心は追加の配位分子と結合しやすく、化学的安定性に問題がある。
そこで、本研究では陰イオン性カルベンAn6DACとピリジン誘導体配位子を組み合わせたCu(I)錯体について、温度依存時間分解発光分光法とDFT/MRCI計算を組み合わせて検討した。Cobolt社製375 nm半導体レーザーを直接変調し、マイクロ秒・ミリ秒領域の時間分解測定における励起光源として使用した。電子求引性ホルミル基を持つピリジン配位子を用いた三方配位錯体3bでは、270 Kにおいて発光の56%がTADFに帰属され、発光量子収率は他の錯体と比較して1〜2桁向上することが明らかとなった。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
TADFに使用された375nmレーザー
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