生物由来ガラス繊維における波面制御と偏光特性

Goeloe, K. M. M., Zlotnikov, I., Amitonova, L. V. “Wavefront Engineering and Polarization Dynamics in Biological Glass Fibers.” ACS Appl. Opt. Mater. 2026, 4, 421–428. https://doi.org/10.1021/acsaom.5c00572

背景

 光導波路は、データ通信から光センシングまで幅広い応用を持ち、現代フォトニクスにおいて中心的な役割を担っている。特に光ファイバーは微小寸法で製造可能であるため、内視鏡検査などの生体内医療処置に広く利用されている。マルチモード光ファイバー(MMF)は、波面整形技術と組み合わせることで、脳組織のような繊細な部位にも到達可能な超細径内視鏡として機能し、高解像度撮像を実現できる。一方、自然界には海綿動物が生体内で常温常圧条件下においてガラス骨格を形成する例が存在する。六放海綿綱や普通海綿綱に属する海綿は、骨片と呼ばれる微細なガラス要素から骨格を構築しており、六放海綿綱の繊維状骨片については既に光導波路としての機能が実証されている。

従来技術の問題点

 しかし、従来のシリカ系光ファイバーは製造に高温処理を必要とし、多大なエネルギーコストを伴うという課題がある。また、六放海綿綱の骨片については光学特性の研究が進んでいるものの、全海綿種の約85%を占める普通海綿綱の骨片が光ファイバー応用に適するかどうかは未解明であった。

解決方法と結果

 そこで本研究では、普通海綿綱に属するオレンジ球海綿(Tethya aurantium)から抽出した針状骨片の光学特性を調査した。Cobolt社製532nmレーザー(Cobolt Samba)を励起光源として用い、骨片への光結合実験を行った。偏光測定の結果、骨片の固有複屈折は低いことが判明した。また、波面整形実験では、骨片出射端面上に12個の焦点を生成することに成功し、開口数0.60±0.07という高い値と21.0±5.0%の出力比を達成した。これらの性能は人工マルチモードファイバーと同等であり、生物由来ガラス繊維が持続可能かつ低コストな光ファイバー代替材料として有望であることを示している。

※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。

その他の論文要約はCobolt論文検索ページをご覧ください。

偏光と波面測定に使用された532nmレーザー

532nmレーザー
532nmレーザー Samba