Küppers, M., Moerner, W. E. “Interferometric Image Scanning Microscopy for label-free imaging at 120 nm lateral resolution inside live cells.” Light: Science & Applications 15, 129 (2026). https://doi.org/10.1038/s41377-026-02210-y
光学顕微鏡は生命科学において細胞構造や動態を可視化するために不可欠な技術であり、近年さらなる高空間・高時間分解能化が進められている。蛍光顕微鏡は回折限界を超える超解像技術として発展してきたが、生細胞観察では光毒性や標識効率、生体機能への擾乱が課題となる。一方、試料からの散乱光を参照光と干渉させて検出する干渉散乱顕微鏡(iSCAT)は、蛍光色素や遺伝子タグを必要とせず、単一蛋白質やウイルスを高感度で検出できる無標識技術として注目されている。また、アレイ検出器を用いて閉ピンホールの分解能と開ピンホールの信号雑音比を両立させる画像走査顕微鏡(ISM)も、共焦点顕微鏡の性能を向上させる手法として確立されている。
しかし、従来の共焦点iSCATでは、閉ピンホール設定で高分解能を得ようとすると検出光子数が大幅に減少し、信号雑音比が低下するという問題がある。また、生細胞内部の不均一な媒質ではコヒーレント光による散乱の重畳がスペックルを生じ、像質が劣化する。さらに、従来手法では入射照明強度が比較的高く、長時間観察時の光損傷が懸念されていた。
そこで、本研究ではiSCATとISMの概念を統合した干渉性画像走査顕微鏡(iISM)を開発し、これらの問題を解決した。干渉点広がり関数の位相情報を考慮した適応的画素再配置法を導入することで、約120 nmの横方向分解能と従来比約4倍の対比雑音比を達成した。Cobolt社製445 nm半導体レーザーを照明光源として使用し、回折限界スポット当たり約0.5 μWの低入射強度で小胞体、ミトコンドリア、小胞などの細胞内小器官を長時間にわたり撮像することに成功した。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
フォトルミネッセンスに使用された445nmレーザー
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