レーザー光の集光径と集光位置の計算

レーザー光をレンズで集光しても、期待した位置に集光位置が来なかったり、集光径が想定より大きかったりすることがあります。その原因の一つが、レーザー光の波面の曲率半径です。(波面とは位相が揃った面を表します。)

集光径の計算において、よくネット上で見る下記の式は、入射ビームが平行光であることを前提にしています。この式はビームウエストが大きく、レンズまでの距離が短い場合(レイリー長に対してレンズまでの距離が十分短い場合)には近似的に適用できますが、一般的には成立しません。レーザー光には必ずビームウエストが存在し、ビームウエストから離れるにつれて波面に曲率が生じるため、この式をそのまま適用すると集光径や集光位置が予想と一致しないことが多いです。

\[ w_0 = \frac{f \lambda M^2}{\pi \cdot w} \]
\(w0\) : 集光スポット径(1/e² 半径)、平行光を仮定
\(f\) : レンズの焦点距離
\(\lambda\) : 波長
\(M^2\) : ビーム品質
\(w\) : レンズ位置でのビーム径(1/e² 半径)


下の計算ツールでは、レーザー光の実際の集光点位置と集光径を計算できるようにしました。あわせて”レーザー光が平行光であることを仮定した場合”との比較も表示されます。差分を見ることで、平行光のときとどのくらいの誤差が生じるかを直感的に確認できます。実験前にパラメータを入力して集光点位置を事前確認することで、光学系の調整をスムーズに進めることができます。

なお、Coboltのような空間出射レーザーでは、レーザー出射口でのビーム径が約0.7mm(直径)と比較的大きく、レイリー長が長いため、多くの実験条件では平行光を仮定した計算との差は小さくなります。(ビームウェスト位置の値については別途お問合せください。)
一方、ファイバー出射モデルではファイバー端面がビームウエスト位置となり、ファイバーコア径(MFD)が数μmと非常に小さいため、波面曲率の影響が大きくなります。


ガウシアンビーム 集光計算ツール

ガウシアンビーム 集光計算ツール

波面曲率を考慮した集光点位置とスポット径を計算し、平行光との比較を表示します

入力
nm
mm
mm
mm
中間計算値
レイリー長 z_R
mm
レンズ位置でのビーム径 w(d)
mm
計算結果 — 比較
ガウシアン
(曲率あり)
平行光
(曲率なし)
差分
集光点位置 d’
mm
集光点位置
mm
ずれ量
mm
集光径 w₀’
μm
集光径
μm
μm

※ w₀・w₀’ はビームの1/e²半径です。差分はガウシアン − 平行光で符号付きで表示しています。
※ 薄肉レンズ近似を使用しています。

計算に使用した公式
ビーム半径
\[ w(z) = w_0 \sqrt{1 + \left(\frac{z}{z_R}\right)^2} \]
z:ビームウエストからの距離、w₀:入射ビームウエスト径(1/e²半径)。z = d とするとレンズ位置でのビーム径 w(d) が求まる
レイリー長
\[ z_R = \frac{\pi w_0^2}{M^2 \lambda} \]
M²:ビーム品質(理想ガウシアンビームではM²=1)。レイリー長はビームウエストからビーム断面積が2倍になるまでの距離を表す
波面曲率半径
\[ R(z) = z \left[1 + \left(\frac{z_R}{z}\right)^2\right] \]
ビームウエスト(z = 0)では R → ∞(平面波)、z が大きくなると R → z(球面波に近づく)
集光点位置
\[ d' = f + \frac{(d-f) \cdot f^2}{(d-f)^2 + z_R^2} \]
d:ビームウエストからレンズまでの距離、f:焦点距離、d':レンズから集光点までの距離。z_R → ∞(平行光)のとき d' → f に一致する。薄肉レンズ近似・近軸近似が成立する条件で適用可能
集光径
\[ w_0' = \frac{f \cdot M^2 \lambda}{\pi \cdot w(d)} \]
w(d):レンズ位置での実際のビーム径。上記のビーム半径の式 w(z) に z = d を代入して求める。レンズに入射するビームが大きいほど集光径は小さくなる