ニオブ酸ストロンチウムバリウム単結晶を用いた電場可変回折光学素子

Shikhova, V., Akhmatkhanov, A., Chuvakova, M., Ivleva, L., Pavelyev, V., Nebogatikov, M. and Shur, V. “Electric field tunable diffraction optical element based on strontium–barium niobate single crystals.” J. Adv. Dielect. 15, 2450036 (2025). https://doi.org/10.1142/S2010135X2450036X

背景

 所望の横モード組成を持つ光束の生成や軌道角運動量(OAM)を持つ光束の形成に用いられる回折光学素子(DOE)は、光ファイバ通信における軌道角運動量多重化によって伝送容量を飛躍的に拡大しうることから、近年盛んに研究されている。従来のDOEには微細凹凸構造を持つ透明材料型や液晶空間光変調器型があるが、前者は変調が不可能であり、後者は応答時間が数百ミリ秒から数ミリ秒程度と高速通信への適用が困難である。そこで、自発分極の反転した分域が線形電気光学効果の符号も反転させる性質を利用した強誘電体DOEが注目されており、ニオブ酸リチウム(LN)単結晶を用いた光偏向器や回折拡散板、渦光束生成素子などが実現されてきた。

従来の問題点

 しかし、LN単結晶を用いたDOEは半波長電圧が最大3400 Vと極めて高く、また分域壁の方位を任意に制御した分域構造の作製が困難であるという問題点がある。そのため、より低い半波長電圧で動作し、任意形状の分域構造を作製可能な代替材料の探索が求められていた。

解決方法と結果

 そこで、本研究では優れた電気光学特性と低い半波長電圧を有する一軸性緩和型強誘電体であるニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN61)単結晶において、写真蝕刻法で形成した液体電極を用い、特殊波形の単極性電場印加により安定な螺旋形状の分域構造を作製し、電場制御可能なDOEを実現した。チェレンコフ型第二高調波発生顕微鏡による観測で、作製した分域構造が結晶の対向極性面まで貫通していることを確認した。DOEの回折像観察にはCobolt社製532nmレーザー Samba を光源として使用し、電圧印加下でOAMを持つ光束の生成が確認された。厚さ2 mmの試料において、半波長電圧は波長632.8 nmで237 V、波長532 nmで302 Vと、LNと比較して10分の1以上低い値が得られた。

※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいております。

使用された532 nmレーザー

532nmレーザー
532nmレーザー

その他の論文要約はCobolt論文検索ページをご覧ください。