Michaud, L.-C.; Boilard, T.; Vallée, R.; Bernier, M. “Mid-Infrared Fiber Amplification of a DFB Interband Cascade Laser.” Photonics 2025, 12, 988. https://doi.org/10.3390/photonics12100988
電磁波の中赤外領域(3〜4 µm帯)は、メタンやエチレン、水蒸気など多くの気体分子の基本振動吸収線を含むため、気体分光学において非常に重要な波長帯である。これらの基本振動は近赤外領域に存在する倍音と比較して数百倍強い吸収を示すことから、高感度な気体検出への応用が期待されている。近年、光ファイバ技術やフォトニック部品の発展に伴い、中赤外コヒーレント光源は出力の面で飛躍的な進歩を遂げており、レーザー手術、高分子加工、遠隔計測など多岐にわたる分野で活用されている。半導体素子であるインターバンドカスケードレーザー(ICL)は、回折限界に近い単一モード出力と狭い線幅、さらに電流変調による高速な波長可変性を有する。一方、中赤外ファイバレーザーは優れたビーム品質と高出力化への潜在性、およびファイバによる光伝送の利便性を兼ね備えている。
しかし、3〜4 µm帯において高出力かつ単一周波数の分布帰還型(DFB)ICLを実現することは困難であり、室温連続発振での出力は数mW程度に留まっていた。また、ファイバレーザーは出力スペクトルがICLほど狭くなく、波長可変性にも乏しいという課題があった。
そこで本研究では、ジスプロシウム添加フッ化物ファイバを利得媒質とし、2910 nmのエルビウム添加ファイバレーザーでコア励起する全ファイバ構成の増幅器を構築し、3240 nm付近で発振するDFB-ICLの増幅を世界で初めて実証した。その結果、約10 dBの利得と最大30 mWの出力を達成し、ビーム品質はM²=1.17と回折限界に近い単一モード動作を確認した。出力スペクトルは種光源の狭線幅特性を維持し、半値全幅は光スペクトル分析器の分解能限界である0.05 nm以下であった。増幅器の出力測定には、残留励起光と熱雑音を除去するための薄膜干渉フィルタを通した後、Gentec社製熱電対型パワーメーター(XLP12-3S-H2-D0)を使用した。

※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
中赤外レーザーの出力測定に使用されたパワーメーター

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