フォトニクス最新ニュース

Photonics News & Insights

フォトニクス最新ニュース

世界の光技術に関する最新動向を、信頼できる情報源から厳選してお届けします。レーザー顕微鏡、レーザー分光、量子光学をはじめ、幅広いフォトニクス領域の研究開発・産業動向をわかりやすく解説します。

最終更新:2026年8月18日

光学素子2026年8月17日NEW

光でシャッターを切って濃霧や深部組織を透かして見る——近赤外を可視光に変える薄膜ゲート(米ロチェスター大)

近赤外光は可視光より組織や霧の奥まで届きますが、深部では散乱に負けて像がぼやけ、検出にも高価な材料の素子が要ります。ロチェスター大のRobert Boyd研究室は、酸化インジウムスズ(ITO)の薄膜に超短パルスを当てて約1ピコ秒だけ「開く」時間ゲーティングを用い、まっすぐ届いた光だけを選んで可視光へ変換する方式を実証しました。安価なシリコン検出器で受けられるため、医用イメージングや自動運転のセンシングの低コスト化につながります。

記事を読む 出典:phys.org(University of Rochester/Nature Communications)
量子光学2026年8月17日NEW

光子を3つ同時に干渉させて「光子の品質検査」を高精度化(オランダ・トゥエンテ大)

量子技術では光子どうしがどれだけ「そっくり」かが性能を決めるため、1987年以来ホン・オウ・マンデル干渉(2光子をビームスプリッタで出会わせる方法)で品質を測ってきました。トゥエンテ大のグループは2つではなく3つの単一光子を同時に干渉させることで、1回の測定から引き出せる情報量を増やし、従来法を雑音のない理想条件で行った場合よりも高い精度を得たとPhysical Review Lettersに報告しました。

記事を読む 出典:phys.org(University of Twente/Physical Review Letters)
その他2026年8月17日NEW

重なった2つの試料を1回のスキャンで撮り分けるX線イメージング(豪モナシュ大)

X線のマルチモーダルイメージングは吸収に加えて位相や暗視野の情報も得られますが、扱えるのは一度に1試料でした。モナシュ大のMarie-Christine Zdora博士らは、重なり合った2つの物体の情報を1回の走査で分離・再構成する「dual-sample multimodal imaging(DSI)」をOpticaに発表しました。追加のスキャンが要らないため、微小電子部品の検査や材料科学、ライフサイエンスなど、検査速度が重要な現場での効率向上が見込まれます。

記事を読む 出典:phys.org(Monash University/Optica)
光学素子2026年8月15日

模様を繰り返さないフォトニック結晶レーザー——設計の自由度を広げて波長を選べる半導体レーザーへ(米イリノイ大アーバナ・シャンペーン校)

フォトニック結晶面発光レーザー(PCSEL)は、同じ微細模様を面内で繰り返して光を閉じ込め、面から真上にビームを出す半導体レーザーです。この繰り返しが前提だったため作れる模様の自由度が乏しいという課題がありましたが、研究チームは模様が繰り返さないフォトニック準結晶を用いた素子(QPCSEL)を、誘電体を埋め込む独自プロセスで試作しました。設計の幅が広がることで、発振波長を選びやすく信頼性の高い半導体レーザーにつながると期待されます。

記事を読む 出典:phys.org(University of Illinois Urbana-Champaign/Applied Physics Letters)
その他2026年8月14日

分子を「風車」のように並べて光のねじれ方向を決める(韓国KAIST・忠南大ほか/理研)

右回り・左回りに回転しながら進む円偏光は、回転方向ごとに別の情報を運べるため、次世代ディスプレイや光通信、セキュリティ用途の光源として注目されています。KAISTの尹東基教授らのグループは、理化学研究所や忠南大学校・亜洲大学校・延世大学校と共同で、それ自体は左右対称な分子を微小な「風車」状に空間配置することで、狙った回転方向の円偏光を得るプラットフォーム技術を開発しました。特殊な材料を新たに合成しなくてよい点が実用上の利点です。

記事を読む 出典:phys.org(KAIST/理化学研究所ほか/Nature Communications)
光学素子2026年8月13日

バラバラに見える材料でも散乱の向きを設計する——「非エルミート統計結晶学」(韓国ソウル大/ソウル市立大)

光の散乱の制御は、レンズの反射防止コートやディスプレイの拡散板、車載LiDAR、光通信部品の性能を左右します。従来は原子や微細構造が規則正しく並ぶ結晶構造が主な手段でしたが、ソウル大学校のSunkyu Yu・Namkyoo Park両教授らは、屈折だけでなく吸収と増幅も含めて扱う理論「非エルミート統計結晶学」を提案しました。近くでは不規則に見えて広い範囲では均質なハイパーユニフォーム構造に着目し、特定方向の散乱を抑えつつ別方向では強めるという設計指針を示しています。

記事を読む 出典:phys.org(Seoul National University/University of Seoul/Advanced Science)
光学素子2026年8月13日

ガラスを「平たく」引くだけで圧力感度1000倍——リボン状の扁平光ファイバをセンサーそのものにする(スウェーデン王立工科大学KTH/英サウサンプトン大学)

光ファイバは通常、断面が円形で光を運ぶ役割に徹する。KTHとサウサンプトン大の共同研究は、円形ファイバを後から潰すのではなく、最初から高アスペクト比のリボン状(扁平)に線引きし、レーザー加工で内部に空気孔や金属充填の微細構造を作り込む手法を開発した。試験では標準的な円形ファイバに比べ圧力感度が最大1000倍に達し、内部にスズ合金を充填した版では温度感度も向上した。既存の光学系との接続互換を保ったまま光ファイバセンサの感度を大きく引き上げられるため、複合材料や電池セル内部のひずみ・圧力・温度の監視への応用が見込まれる。成果は Nature Communications に掲載。

記事を読む出典:optics.org(KTH/サウサンプトン大学/Nature Communications)
レーザー分光2026年8月11日

電極を付けずに「鏡像の材料」の違いを光で測る(イスラエル・ヘブライ大)

右手と左手のように鏡像の関係にある「キラル」な材料は、円偏光の回転方向によって応答が変わります。ヘブライ大学のグループは、キラルな2次元ペロブスカイトに光を当てたときに生じる電荷の分離を非接触で捉える手法を開発しました。従来のように金属電極を付けて素子に仕立てる必要がないため、電極や配線の影響を受けずに材料本来の電子的な性質を短時間で評価できます。円偏光と電荷・スピンを組み合わせた素子の材料探索に役立つと見込まれます。

記事を読む 出典:phys.org(The Hebrew University of Jerusalem/Small)
その他2026年8月11日

「教科書の限界」を超えたX線発生——ヘリウムの2電子が同時に光を放ち、高次高調波のカットオフを突破(オーストリア・ウィーン工科大学/米カリフォルニア大学サンディエゴ校)

強いレーザー光を原子に当てると、いったん引きはがされた電子が戻る際にX線領域の超高周波パルスが生じる(高次高調波発生)。この過程には理論上のエネルギー上限「カットオフ」があるとされてきたが、両大学の共同実験はヘリウム原子を使い、2個の電子が同時にエネルギーを放出する経路を利用して従来の上限を大きく上回るX線の発生を確認した。成果は Nature Photonics に掲載。より短波長・高エネルギーな実験室サイズのX線源につながる可能性がある。

記事を読む出典:phys.org(ウィーン工科大学/Nature Photonics)
レーザー分光2026年8月11日

光で「電子の結晶」の内側を覗く——ウィグナー結晶の集団運動を反射光から読み取る(スイス・バーゼル大学/独ミュンヘン工科大学)

電子同士の反発だけで規則正しく並ぶ「ウィグナー結晶」は、内部でどのように動き、外からの刺激にどう応じるかを調べる手段が乏しかった。研究チームは単層のセレン化タングステンを絶対零度近くまで冷却し、光を当てて反射光を測定。光で生じた励起子と規則配列した電子が結びついた準粒子「ウィグナー結晶ポラロン」が高感度なプローブとして働き、これまで届かなかった集団運動の情報が得られた。Nature Physics に掲載。

記事を読む出典:phys.org(バーゼル大学/Nature Physics)
レーザー分光2026年8月11日

皮膚を通る光で心の状態を測る——血流と代謝の光計測でストレス・不安の兆候を捉えるウェアラブル(英アストン大学)

英アストン大学のEdik Rafailovらは、皮膚に当てた光から「微小循環」と「組織代謝」を同時に読み取り、ストレス関連の状態を客観的に評価しようという装着型デバイスを実証しました。用いたのは2つの光計測です。ひとつはレーザードップラー血流計で、850nmの微弱なレーザー光が動いている赤血球に散乱されて受ける周波数変化から血流を測ります。もうひとつは365nm励起の蛍光分光で、補酵素NADHの自家蛍光強度を組織の代謝状態の指標とします。18〜94歳・19か国の成人132名を対象に、標準的な21項目の質問票による評価と突き合わせたところ、2つの光信号とアンサンブル学習の組み合わせで、ストレス症状のある人とない人を「中程度の精度」で区別できました。研究チームは質問票を置き換えるものではなく補完するものと位置づけており、うつや不安の診断に使えるものではない、より大規模な臨床検証が必要だと明言しています(Communications Medicine 掲載、2026年8月11日)。

記事を読む出典:optics.org(アストン大学/Communications Medicine)
レーザー顕微鏡2026年8月6日

近赤外レーザー1本で多色・局在精度0.6Å——「褪せない点滅」を持つナノ粒子による超解像顕微鏡U-STORM(米MIT/ブロード研究所)

一分子局在型の超解像顕微鏡(STORM)は蛍光分子の確率的な明滅を利用しますが、色素は褪色するうえ、多色化には複数のレーザーと精密な光軸調整、特殊な緩衝液が必要でした。MITとブロード研究所のSam Pengらは、ランタニドの組成を精密に設計した直径10nmのアップコンバージョンナノ粒子が、近赤外の連続光を当てるだけで自発的に、しかも褪色せず無期限に点滅し続けることを見いだしました。増感イオンと発光イオンの比を変えて赤と青に光る粒子を作り分け、近赤外レーザー1本で同時多色の超解像撮像(U-STORM)を実現。同じ粒子から8万8千回以上の局在イベントを積み上げられるため局在精度は0.6Åに達し、生理的な条件下でEGFR受容体の二量体・多量体の分布を可視化しています(Nature Nanotechnology 掲載)。

記事を読む出典:optics.org(マサチューセッツ工科大学/ブロード研究所/Nature Nanotechnology)

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