生分解性電池製造のためのレーザー粉末床溶融法による純亜鉛電極の作製:プロセス開発と予備的電気化学試験

Caprio, L., Della Monica, G., Milroy, C. A., Demir, A. G. “Laser Powder Bed Fusion of Pure Zinc Electrodes for the Manufacturing of Biodegradable Batteries: Process Development and Preliminary Electrochemical Testing.” Adv. Eng. Mater. 2025, 27, 2401749. https://doi.org/10.1002/adem.202401749

背景

 亜鉛は自然界に豊富に存在し、無毒性、生分解性、生体適合性を有することから、蓄電デバイス用電極材料として注目されている。亜鉛系電池、特に亜鉛空気電池や亜鉛銀電池は、リチウムイオン電池と比較して高い容量と性能を示す。また、水系電解質を用いるため有機電解質を使用するリチウムイオン電池より安全性が高い。生体内で安全に吸収される一過性電子デバイスへの応用も期待され、二次手術なしに体内で分解可能な電池の実現が見込まれる。三次元電極は、不規則な表面や網目構造を持ち、充放電特性の向上や樹枝状結晶形成の抑制に有効である。金属粉末をレーザーで選択的に溶融・積層する付加製造技術であるレーザー粉末床溶融法(LPBF)は、小型で複雑な形状の金属部品を製造可能であり、電極製造への応用が期待される。

従来の問題点

 しかし、亜鉛電極は不動態化現象により充電性能が阻害され、電極表面での樹枝状結晶成長や電気化学サイクル中の水素発生といった課題がある。従来の三次元電極製造法では、粉末粒子間に非導電性の結合剤が存在するため、電極および電池全体の導電性が低下するという問題があった。

解決方法と結果

 そこで、本研究ではLPBFを用いて純亜鉛薄壁構造を作製し、上記課題の解決を図った。レーザー出力、走査速度、空間的ビーム整形を変化させた実験計画を立案し、厚さ200〜500 μm、表面粗さRa 10〜15 μmの薄壁電極を製造した。レーザー照射分布特性の評価には、Gentec社製CMOSセンサ(Beamage Series USB 3.0)を用いてビーム形状ごとの放射照度分布を測定した。6M KOH溶液およびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中での循環ボルタンメトリーおよび定電流充放電試験の結果、作製した電極は水系二次電池用負極として適用可能な電気化学特性を示した。特にKOH電解質中での対称セル試験では、従来の三次元海綿状亜鉛電極より低い過電圧(約15〜20 mV)を達成し、マクロ樹枝状結晶の形成も抑制された。

※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。

論文で指定されたGentecのビームプロファイラー

Beanage-4M
ビームプロファイラー

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