Wohlfeil, S., Christopher, H., Fricke, J., Wenzel, H., Knigge, A., Tränkle, G. “Picosecond pulses with 40 W peak power from a passively mode-locked tapered quantum well laser.” Electronics Letters 59(4), 2023. https://doi.org/10.1049/ell2.12736
電磁波の一種であるテラヘルツ波を用いた時間領域分光法(THz-TDS)は、非破壊検査技術として医療、セキュリティ、食品産業など多くの分野で応用が期待されており、近年研究が活発化している。良好な時間分解能を得るためには、ピコ秒領域のスペクトル広帯域テラヘルツパルスが必要である。このようなテラヘルツ放射を発生させる最も一般的な方法は、フェムト秒高出力光パルスで光伝導アンテナを励起する手法であり、通常はチタンサファイアレーザーやファイバレーザーが用いられる。一方、端面発光型のモード同期半導体レーザーは、電気的に励起可能であり小型であることから、より小型で低コストなTHz-TDSシステムを実現する光源として有望視されている。また、テーパ型利得領域を採用することで、良好なビーム品質を維持しながら出力を向上させる手法が、モード同期半導体レーザーにも適用されている。
しかし、モード同期半導体レーザーには、パルス幅が比較的長いことと、パルス出力が不十分であるという二つの主要な課題が存在していた。従来の量子ドットテーパ型レーザーでは500 fsで10 Wのピーク出力、量子井戸テーパ型レーザーでは11 ps(圧縮前)で18 Wのピーク出力にとどまっていた。
そこで、本研究では、InGaAsP二重量子井戸を活性領域とする全長6 mmのモノリシックテーパ型半導体レーザーを開発し、受動モード同期動作において記録的な高ピーク出力を達成した。波長約832 nm、繰り返し周波数6.3 GHzで動作し、最短パルス幅2.4 ps・ピーク出力34 W、またわずかに長いパルス幅では40 Wを超えるピーク出力を実現した。レーザー出力の平均光出力測定には、Gentec社製熱電対型パワーメーター(XLP12-3S-H2-D0)とモニターのMaestroが使用された。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
中赤外レーザーの出力測定に使用されたパワーメーター

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