Namura, K., Nakajima, K., Suzuki, M. “Quasi-stokeslet induced by thermoplasmonic Marangoni effect around a water vapor microbubble.” Sci. Rep. 2017, 7, 45776. https://doi.org/10.1038/srep45776
背景
微小流体工学や統合型微小分析システムの発展に伴い、微量な液体の混合技術は極めて重要な役割を担っている 。粘性効果が支配的な微小流路内で流体を駆動する有望な力の一つがマランゴニ力である 。マランゴニ力とは、温度勾配に起因する気液界面の表面張力差によって生じる力であり、これによって誘起される流動をマランゴニ流と呼ぶ 。金ナノ島膜(GNF: Gold Nanoisland Film)を用いた熱プラズモン効果は、光エネルギーを吸収して極めて短時間で熱に変換する特性を持ち、局所的な可動熱源として機能する 。この膜は薄膜でありながら可視から近赤外領域で高い光吸収率を示し、接触する液体を迅速に加熱できる利点がある 。熱プラズモン加熱によって生成された微小気泡の周囲には、高度に局在化した熱発生により強い温度勾配が形成され、粒子の収集や分級に有効な高速流動を精密に制御することが可能である 。
従来の問題点
しかし、非脱気水を用いた従来の系では、加熱によって生成される気泡は水蒸気だけでなく溶存空気の拡散を含んだ空気気泡となり、加熱中に気泡が連続的に成長して直径の制御が困難であった 。また、マランゴニ力は温度勾配に対して極めて敏感であるため、電熱線のような固定式加熱源では、気泡の位置や大きさに合わせて流動を柔軟に制御することが難しいという課題が存在した
解決方法と結果
そこで、本研究では溶存気体を除去した脱気水を使用することで、直径約10μmの安定した水蒸気マイクロバブルを生成し、急峻な温度勾配を形成することで極めて高速な流動を実現した 。加熱源にはCobolt社製の波長785nmの連続波発振ダイオードレーザー(使用出力31mW)を使用し、金ナノ島膜上の微小領域を局所的に加熱して気泡生成とマランゴニ流の誘起を行った 。その結果、気泡近傍で1m/sを超える極めて高い流速が推定され、この流動が「ストークスレット」と呼ばれる粘性流の基本解で精度良く記述できることが示された 。
※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
論文で使用されたCoboltのレーザー
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