Hirlinger-Alexander, J., Scharwaechter, M., Bader, F., Steck, J., Seibold, M., Werner, M., Bek, R., Kahle, H. “Semiconductor membrane microchip laser.” Optics Express 2025, 33, 53216. https://doi.org/10.1364/OE.574856
半導体薄膜外部共振器面発光レーザー(MECSEL)は、従来の垂直外部共振器面発光レーザーと比較して、優れた放熱特性を有している 。MECSELは、光増幅を担う利得領域を厚さ約1マイクロメートルの薄膜として抽出し、これを熱伝導率の高い放熱材で挟み込む構造を持つ 。この構成により、従来の構造では不可欠であった反射鏡の結晶成長が不要となるため、材料選択の制約が取り払われ、広範な波長設計や高度な波長可変性が実現可能となっている 。また、共振器を一体化させたモノリシックな構造は、外部の環境雑音を抑制し、線幅の狭窄化を可能にする 。小型で高出力、かつ優れたビーム品質を両立できるこの技術は、産業用製品の小型化において極めて重要な役割を果たす 。
しかし、開放型共振器を用いる従来のMECSELは、高い柔軟性を持つ反面、機械的な振動や温度変化といった外部環境の影響を受けやすく、安定性の維持に課題があった 。また、マイクロチップ型の共振器構成において、半導体薄膜を用いた例はこれまで報告されておらず、十分な出力電力と高い変換効率を両立させる熱管理技術の確立が求められていた 。さらに、平面並行共振器においては、光束を安定させるためのレンズ効果をいかに制御し、単一モード動作を維持するかが技術的な障壁となっていた 。
そこで、本研究では、炭化珪素の放熱板で利得薄膜を挟持し、その外端面に反射鏡を直接成膜した、初のマイクロチップ型MECSELを開発した 。この素子は、動作時に発生する熱レンズ効果を利用して共振器を自律的に安定化させる 。波長1123ナノメートルにおいて、3.2ワットの連続波出力を達成し、MECSELとして過去最高となる51.4パーセントの傾斜効率を記録した 。実験において、Gentec Electro-Optics社のBeamage-4Mビームプロファイリングカメラを使用し、励起光の集光径の精密測定や、出力光のビーム品質指数($M^2$)の評価を行った 。これにより、励起電力の増加に伴って熱レンズの焦点距離が79センチメートルから11センチメートルまで短縮される挙動を定量的に把握し、1ワットを超える出力領域でも単一横モード動作が維持されることを実証した 。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
論文で使用されたGentecのビームプロファイラー

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