Villaret, G., Mayer, L., Schmidt, M., Magaletti, S., De Feudis, M., Markham, M., Edmonds, A., Roch, J.-F., Debuisschert, T. “Efficient and all-carbon electrical readout of a NV-based quantum sensor.” Appl. Phys. Lett. 122, 194001 (2023). https://doi.org/10.1063/5.0139469
背景
窒素空孔(NV)中心は、ダイヤモンドの結晶格子中に存在する、窒素不純物と炭素空孔の対から成る量子欠陥であり、室温で作動するその物理的性質から量子計測の分野で期待されている 。NV中心は電子スピンの状態に応じて発光強度が変化するため、光学的磁気共鳴を通じた高感度な計測が可能である 。近年は、スピン共鳴を光電流の変化として検出する光電磁気共鳴の研究が加速している 。光電検出は光の集光限界に依存せず、装置の小型化や集積化が可能という利点がある 。
従来の問題点
しかし、従来の光学的読み出しはダイヤモンドの高屈折率による全反射の影響を受け、光の収集効率が低下するという課題がある 。また、電荷収集のための電極形成においても、金属薄膜の蒸着と高温の熱処理による炭化物形成が必要であり、工程が複雑である 。ダイヤモンド表面と金属電極の密着性の低さは、素子の性能や寿命に悪影響を及ぼす 。さらに、NV中心集合体を用いた光電検出では、金属電極以外の実装例は報告されていなかった 。
解決方法と結果
そこで、本研究ではキセノン集束イオンビームを用いてダイヤモンド表面を直接黒鉛化し、全炭素構成の平面電極を形成することで解決した 。この手法は金属蒸着を不要とし、高い密着性と良好な導電性を維持したまま、微細な構造を高い空間分解能で作製できる 。実験では、波長532 nmのCobolt社製CWレーザーを励起光源として用い、NV中心を光電離させて電荷担体を発生させることで、スピン共鳴の変化を光電流として収集した 。その結果、金属電極と同等の26 %の収集効率を達成し、100 mTを超える強磁場下でも磁気共鳴信号の電気的検出に成功した 。本成果は、製造工程を簡略化した全炭素ダイヤモンド量子センサの実現を後押しするものである 。
※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
論文で使用されたCoboltのレーザー
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