Hooiveld, E., Rijnders, L., van der Meer, B., van der Gucht, J., Sprakel, J., van der Kooij, H. M. “Self-stratification and phase separation in drying binary colloidal films.” Journal of Colloid and Interface Science 679 (2025) 324–333. https://doi.org/10.1016/j.jcis.2024.10.102
背景
液体中に微粒子が分散したコロイド混合物の乾燥過程は、多機能な被膜を一段階で形成できる手法として、塗料や化粧品、食品など幅広い産業で注目されている 。粒子分布を制御することで、表面には耐摩耗性、基材側には密着性といった異なる機能を付与した「傾斜構造」を自発的に構築できるからである 。この構造形成に寄与するのが「自己成層化」であり、特に、溶媒の蒸発に伴う濃度勾配が粒子を押し戻す「拡散泳動」という物理現象が重要な役割を果たす 。拡散泳動は、粒子間の非対称な相互作用により特定の粒子を表面へ濃縮させる力を生む 。また、これとは別に、濃度上昇に伴い粒子が熱力学的に集まる「相分離」も膜の微細構造を決定する要因となる。
従来の問題点
しかし、従来の自己成層化の研究は垂直方向の濃度勾配にのみ焦点を当てており、乾燥中の高い粒子濃度下で生じる熱力学的な相分離の影響を無視していた 。二つの分離機構が同時に進行する際の相互作用や、最終的な膜構造への影響は未解明であった。
解決方法と結果
そこで、本研究では三次元共焦点顕微鏡を用い、成層化と相分離の同時進行をリアルタイムで定量化した 。粒子のサイズ分布を測定するため、Cobolt社製レーザーを光源とする動的光散乱法が使用された 。その結果、粒子径比が一定を超えると相分離が膜形態を支配し、蒸発速度を遅くすると成層化が抑えられ相分離ドメインが大型化することを突き止めた。
※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
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