回転塗布法によるGe–In–Se薄膜:特性評価およびインジウム含有量に関連した可視光・電子線照射による変化

Jancalek, J., Milam, A., Slang, S.*, Kurka, M., Svoboda, R., Jemelka, J., Vlcek, M. and Palka, K. “Spin-coated Ge–In–Se thin films: characterization and changes induced by visible and electron radiation in relation to indium content.” Mater. Adv., 2025, 6, 6152–6161. https://doi.org/10.1039/d5ma00596e

背景

 硫族元素(S、Se、Te)を含む非晶質半導体材料であるカルコゲナイドガラスは、高い屈折率、広い赤外透過域、低いフォノン準位、高いイオン伝導性を有することから、光記録媒体、回折光学素子、平面導波路、高解像度感光材料などの光学応用に向けて近年広く研究されている。Ge–Se系ガラスは共有結合による安定なネットワーク構造を持つ優れたガラス形成体であり、さらにインジウムを導入したGe–In–Se三元系はインジウム15 at%まで広いガラス形成域を有する。インジウムの導入はガラス転移温度の変化に加え、電気伝導度、光伝導性、光学的非線形性の向上をもたらし、高速光学素子や信号通信への応用が期待されている。一方、溶液法による薄膜作製は、真空蒸着法と比較して簡便かつ低費用であり、組成の均質性にも優れている。

従来の問題点

 しかし、溶液法によるカルコゲナイドガラス薄膜の成膜はこれまでGe–S、Ge–Se、Ge–Sb–S、Ge–Sb–Se系など限られた組成でしか実現されておらず、Ge–In–Se系薄膜は結晶質・非晶質を問わず溶液法による作製が報告されていなかった。また、結晶性In₂Se₃薄膜の作製には毒性の高いヒドラジン系溶媒が必要であるという問題もあった。

解決方法と結果

 そこで、本研究ではプロピルアミン–メタノール混合溶媒を用いた回転塗布法により、Ge₂₅₋ₓInₓSe₇₅(x = 0, 2.5, 5, 7.5, 10)薄膜を初めて溶液法で高い光学品質で成膜することに成功した。熱処理に伴う構造変化や組成変化を各種分光法で評価した結果、2.5 at%のインジウム添加が光感度および電子線感度を顕著に向上させ、特にGe₂₂.₅In₂.₅Se₇₅薄膜は溶液法カルコゲナイド薄膜として最高水準の食刻選択比6.4を達成した。光感度評価にはCobolt社製の波長532 nmレーザー(Cobolt Samba)を用い、薄膜への直接照射による光暗化特性の評価および干渉縞露光による回折格子の作製に使用した。

※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいており、査読前論文です。

使用された532 nmレーザー

532nmレーザー
532nmレーザー

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