Guerrini, R., Alvarez-Llamas, C., Sancey, L., Motto-Ros, V., Duponchel, L. “Optimization of denoising approaches in the context of ultra-fast LIBS imaging.” Spectrochimica Acta Part B: Atomic Spectroscopy 227 (2025) 107167. https://doi.org/10.1016/j.sab.2025.107167
試料表面に短いレーザーパルスを集光して過渡的なプラズマを生成し、その発光を分光分析することで元素組成を決定するレーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)は、単一パルスから多元素情報を同時に取得可能であり、試料前処理がほぼ不要な分析手法として注目されている。数μmの横方向分解能で空間分解元素分析を実現するμLIBS元素イメージングは、工業、地質学、法科学、生物医学など多様な分野で活用されている。kHzレーザーの導入により、1 cm²相当の100万点測定を約17分で完了できるなど、分析速度の大幅な向上が期待されている。
しかし、kHzレーザーを用いた高速μLIBSイメージングでは、生体試料への熱損傷を抑えるために低エネルギーパルス(1 mJ以下)を使用する必要があり、プラズマ発光が弱くなる。加えて、高速取得に対応するsCMOS検出器では有効面積の縮小により光量が減少し、信号対雑音比(SNR)が著しく低下する。この問題は微量元素の検出限界や定量精度に悪影響を及ぼし、生体臨床試料において疾患関連の微量化合物を見逃す原因となる。
そこで本研究では、主成分分析(PCA)、Savitzky-Golay平滑化、高速フーリエ変換、ウェーブレット閾値ノイズ除去、Whittaker平滑化の5種類のノイズ除去手法を比較検討した。Cobolt社製1064nmパルスレーザー(Cobolt Tor XE、波長1064 nm、繰り返し周波数1000 Hz)を励起光源として用い、金ナノ粒子を投与したラット腎臓切片から210万点の分光データを取得した。その結果、PCAが最も効果的であり、リン、金、鉄の各元素でSNRを約5倍向上させ、発光線の歪みなく元素像のコントラストと動的範囲を改善できることが示された。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
レーザーLIBSに使用された1064nmパルスレーザー
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