Pollastrone, F., Piccinini, M., Pizzoferrato, R., Palucci, A., Montereali, R.M. “Fully-digital low-frequency lock-in amplifier for photoluminescence measurements.” Analog Integrated Circuits and Signal Processing (2023) 115:67–76. https://doi.org/10.1007/s10470-022-02125-9
ロックイン増幅器は、雑音の多い環境から特定の搬送周波数を持つ信号を復調するための装置であり、干渉計、反射計、光レーダー、ボロメータなど多くの実験物理学の応用において広く用いられている。特に光ルミネセンス測定においては、蛍光物質の発光特性を高感度に検出するために、ロックイン増幅器による信号抽出技術が重要な役割を果たす。光ルミネセンスとは、物質が光を吸収した後に再び光を放出する現象であり、材料科学や放射線線量計測など幅広い分野で活用されている。ENEAフラスカティ研究所では、これまで中高周波領域のロックイン増幅器構造を用いた各種計測機器の開発が進められてきた。
しかし、市販のロックイン増幅器は高精度である一方で高価であり、特に無線周波数帯域を含む場合にはその費用が顕著に増大するという問題がある。多くの応用においては高精度よりも、低コスト、小型軽量、使いやすい画面表示機能が求められる。
そこで、本研究ではマイクロコントローラ基板(Arduino Mega 2560)を基盤とした完全デジタル方式の低周波ロックイン増幅器を開発し、50ユーロ以下という低コストで上記の課題を解決した。本装置は、合成電気信号と白色雑音を用いた特性評価により、動的範囲43 dB、雑音指数25〜44 dBの性能を示した。また、フッ化リチウム結晶中のF2色中心の光ルミネセンス測定に本装置を適用し、その有効性を実証した。この測定では、波長445 nmの連続発振Cobolt社製レーザーを励起光源として使用し、180 Hzで光チョッパにより変調された青色光でF2色中心を励起して、赤色領域の発光を検出した。得られた発光強度は照射線量に対して線形応答を示し、本装置が実用的な光ルミネセンス測定に適していることが確認された。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
フォトルミネッセンスに使用された445nmレーザー
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