光重合体材料における大面積・均一・制御可能な表面レリーフ構造の作製と評価

AKearney, O., Naydenova, I. “Fabrication and Characterisation of Large Area, Uniform and Controllable Surface Relief Patterns in Photopolymer Material” (2023). Conference Papers. 47. https://arrow.tudublin.ie/cieocon2/47

背景

 抗生物質耐性病原体の増加に伴い、簡便かつ迅速な細菌検出技術の開発が急務となっている。従来の微生物学的手法である培養計数法は、時間と労力を要し、専門的な設備と技能が必要である。これに対し、光を用いた検出手法は高感度かつ非接触で並列的な検出が可能であることから、近年急速に研究が進められている。また、表面の粗さが細菌の付着挙動に大きく影響することが明らかになっており、表面形態を制御した構造体の作製が細菌検出素子の開発において重要な要素となっている。干渉性の光束を用いて感光性材料に周期構造を記録する干渉露光法は、表面形態の制御と回折光信号の取得を同時に実現できる手法として注目されている。

従来の問題点

 しかし、細菌付着と表面粗さの関係については、粗さの低減が付着を減少させるとする報告、逆に増加させるとする報告、さらには菌種によって挙動が異なるとする報告が混在しており、平均粗さのみでは直接的な相関を確立できないという問題点がある。この原因として、表面の物理的・化学的性質を体系的に制御した均一な試料を用いた研究が不足していることが挙げられる。

解決方法と結果

 そこで、本研究ではCobolt社製Flamenco(波長660 nm)を光源とした三光束干渉露光系を構築し、光重合体表面に制御可能な交差回折格子を一括露光で作製することによって、この課題に取り組んだ。Cobolt社製の当該光源は、空間フィルタリング・拡大・平行化の後、偏光分離素子と反射鏡を介して三光束に分岐され、感光材料上に二次元干渉縞を形成するために使用された。周期2、5、8 μmの交差回折格子の作製に成功し、周期が大きいほど構造高さと表面粗さが増大することを確認した。表面粗さは周期の変更により約6倍(15~95 nm)の範囲で制御可能であり、回折効率は20~43%の範囲で周期に依存して変化した。今後、細菌の付着に伴う表面形態の変化が回折効率に反映されることを利用し、付着菌数の定量的検出への応用が期待される。

※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY SA-4.0)に基づいており、査読前論文です。

露光に使用された660 nmレーザー

660nmレーザー
660nmレーザー

その他の論文要約はCobolt論文検索ページをご覧ください。