光熱非線形散乱検出による半導体ナノワイヤ共鳴モードの超解像イメージング

Chen, Y.-A., Yen, T.-H., Yang, C.-Y., Chen, J.-J., Chang, C.-W., Nishida, K., Chu, S.-W. “Super-resolution imaging of resonance modes in semiconductor nanowires by detecting photothermal nonlinear scattering.” Nanophotonics 2025, 14(25), 4565–4573. https://doi.org/10.1515/nanoph-2025-0383

背景

 半導体を基盤とするフォトニック集積回路は、微小スケールで光を操作する高密度な基盤として、光通信、非線形光学、量子フォトニクス、生体センシングなど幅広い応用が期待されている。特に窒化ケイ素(Si₃N₄)は広い透過波長域、低伝搬損失、CMOS製造工程との互換性から有望な光導波路材料として注目されている。これらの回路の性能を最大化するには、導波路内部の共鳴モード、すなわち光場の空間分布を詳細に把握することが不可欠である。現在、こうした電磁共鳴モードの二次元的特性評価には、近接場光学顕微鏡(NSOM)や電子エネルギー損失分光(EELS)イメージングが主に用いられている。

従来の問題点

 しかし、NSOMAやEELSは視野が狭く、高価かつ複雑な装置を必要とするため、産業的な大規模検査には適していない。一方、遠視野光学顕微鏡は非接触で広範囲の観察が可能であるが、回折限界により誘電体ナノ構造内部の共鳴モード微細分布の可視化には至っていなかった。

解決方法と結果

 そこで、本研究ではレーザー走査型飽和励起(SAX)顕微鏡法を適用し、光熱非線形散乱信号を抽出することで、この問題を解決した。Si₃N₄ナノワイヤにおいて、共鳴モードの腹の位置で光吸収が増大し、熱光学効果による散乱非線形性が生じることを実験的に確認した。3次非線形散乱信号を用いた画像再構成により、空間分解能を1.7倍向上させ、従来の遠視野光学顕微鏡では観察不可能であった周期的共鳴モード分布の可視化に成功した。光源には波長561 nmのCobolt社製連続波レーザー(Cobolt Jive)を用い、ナノワイヤの光熱非線形散乱応答を誘起するための励起光として使用した。

※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。

レーザー走査型飽和励起顕微鏡法に使用された561nmレーザー

561nmレーザー
561nmレーザー

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