Wang, Z., Kłos, J., Fortner, J., Wang, Y.H. “Capturing Exciton-Proton Collisions in Confined Water.” Research Square, Preprint (2026). https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-6521805/v1
電子と正孔の束縛対である励起子は、光と強く結合する準粒子であり、個々の分子やイオンとの相互作用に対して本質的に高い感度を有することから、単分子検出への応用が注目されている。半導体単層壁炭素管(SWCNT)中の励起子は、近傍の電荷や吸着分子に鋭敏に応答し、単分子光学検出器としての実証が進められている。一方、水和陽子は生体内のイオン輸送、酵素触媒反応、およびエネルギー変換過程において中心的な役割を担っており、そのナノ計測は科学的に重要な課題である。
しかし、励起子の応答は環境雑音に容易に埋もれ、従来の計測では管軸方向の空間平均化により、特定の相互作用部位や化学事象への帰属が困難であった。また、水和水素イオンは小さく、固有の光学的特徴を持たず、水和構造が高速に揺動するため、分光学的に最も検出困難な化学種の一つであった。pH計はアンサンブル平均値しか報告できず、走査型トンネル顕微鏡や低温電子顕微鏡等の手法も、単イオン感度の欠如や非常温条件への制約という問題点があった。
そこで、本研究ではsp³量子欠陥を導入したSWCNTの外壁をパリレンC保護膜で被覆し、管内部のみを水やイオンに開放する「細孔中の捕獲器(TIP)」構造を構築することによって、室温・液相条件下での単一水和水素イオンの光学的検出を実現した。欠陥に局在化した励起子が水和水素イオンと衝突すると、離散的かつ可逆的な発光エネルギーの切り替えが強度階段として観測され、確率的な捕獲・脱離事象が個別に識別された。さらにH⁺とD⁺の滞留時間差(同位体効果)も単一欠陥で分解された。計測にはCobolt社製561 nmレーザー(Cobolt Jive 500)を励起光源として用い、E₁₁およびEsp3励起子を生成し、超分光撮像による事象分解計測を行った。
※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいており、査読前論文です。

励起に使用された561nmレーザー
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