Barkby, J.W., Moro, F., Perego, M., Taglietti, F., Lidorikis, E., Kalfagiannis, N., Koutsogeorgis, D.C. & Fanciulli, M. “Fabrication of nitrogen-hyperdoped silicon by high-pressure gas immersion excimer laser doping.” Scientific Reports 14, 19640 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-69552-8
半導体材料において、溶解度限界を大幅に超える濃度でドーパントを導入する過剰ドープ技術は、従来材料の性能限界を突破する手法として近年急速に研究が進められている。シリコン中の窒素欠陥は、バンドギャップ以下の赤外吸収特性を示し、光電子工学や太陽電池、検出器の性能向上に寄与する。また、窒素は酸素析出を促進し、空孔と強く相互作用することで固有欠陥の形成を抑制する。特に置換型窒素欠陥は深い準位のドナーであり、室温以上で電子スピン共鳴による不対電子スピンの観測が可能であることから、高温動作量子情報処理デバイスへの応用が期待されている。
しかし、シリコン中の窒素は固体および液体溶解度限界がそれぞれ4.5×10¹⁵および6.0×10¹⁸ at/cm³と極めて低く、融液中での拡散係数も1.4×10⁻⁵ cm²/sと小さいため、高濃度の窒素ドーピングが困難であった。従来のイオン注入法では結晶損傷や非晶質化が生じ、再結晶化のための熱処理が必要となる上、熱処理では格子間窒素を置換位置に活性化できないという問題があった。
そこで、本研究では高圧ガス浸漬エキシマレーザードーピング(HP-GIELD)法を開発し、単一工程で窒素過剰ドープシリコンの作製に成功した。10気圧の窒素またはアンモニア雰囲気中で2.8 J/cm²のフルエンスで照射することにより、総窒素濃度として従来報告値の12倍となる6 at%超(3.01×10²¹ at/cm³)、置換型窒素濃度として2.0×10¹⁸ at/cm³を達成した。高圧環境はプラズマを表面に閉じ込め、シリコンのダングリングボンド生成を抑制した。なお、本研究ではGentec-EO社製Beamage-4M CCD空間強度分布計測器を用いて、試料表面におけるレーザービームの照射領域寸法を正確に測定した。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
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