ブリルアン分光法のためのファイバ内レイリー光抑制

Nicolai, J., Kutova, O., Farrell, C., Allam, M., Chagnon-Lessard, S., Jean-Ruel, H. “In-fiber Rayleigh peak suppression for Brillouin spectroscopy.” Opt. Express 33, 35784-35797 (2025). https://doi.org/10.1364/OE.568905

背景

 物質中の熱的に生成されたフォノン(音波)による非弾性光散乱を測定することで生体力学的特性を評価するブリルアン分光法は、非接触・非標識・非破壊であり、マイクロメートル級の空間分解能を有することから、組織や細胞レベルでの力学特性計測手法として近年急速に研究が進められている。眼科領域での応用に加え、メラノーマ、変形性関節症、動脈硬化性プラーク、細菌性髄膜炎などの早期診断への応用可能性が探索されている。ブリルアン分光法では、単一周波数の励起光を試料に照射し、散乱光を高分解能分光器で解析する。生体試料における周波数シフトは数ギガヘルツ程度であり、可視光領域では数ピコメートルに相当する。

従来の問題点

 しかし、ブリルアン信号は弾性散乱によるレイリー光より数桁以上弱く、かつスペクトル的に極めて近接しているため、その測定には高いコントラストが必要である。従来の分光器技術や超狭帯域フィルタには、複雑さ、高コスト、大型化、特定波長への制限、光軸調整の困難さなどの問題点がある。

解決方法と結果

 そこで、本研究ではファイバブラッグ回折格子を用いたファブリ・ペロー干渉計(FBG-FP)を反射モードで動作させることにより、超狭帯域帯域阻止フィルタを実現した。785 nmにおいて31 dBの抑制率と約2 dBの固有挿入損失を達成し、水、アクリル、メタノール、エタノールのブリルアン測定を実証した。ひずみ印加による波長可変性も確認された。Gentec社製パワーメーター(Pronto-Si)は、フィルタの挿入損失を評価するため、フィルタ前後の光パワーを比較測定する目的で使用された。本手法は単純・低コスト・小型・調整不要・直列化可能であり、ブリルアン分光法の普及と現場展開型装置の開発に貢献する可能性を有する。

※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。

測定に使用されたパワーメーター

PRONTO-Si
PRONTO-Si

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