単一軸モードダイヤモンドラマン共振器における波長可変カスケードストークス次数発生

Bernerd, C., Stoikos, G., Chrysalidis, K., Echarri, D.T., Fedosseev, V.N., Heinke, R., Marsh, B.A., Granados, E. “Tunable single-frequency cascaded Stokes order generation in monolithic diamond Raman resonators.” Optics Letters 2025, 50, 6831-6834. https://doi.org/10.1364/OL.572758

背景

 可視域において波長可変かつ狭線幅(GHz以下)の光源は、高分解能分光法、量子技術、原子時計など多岐にわたる応用において重要である。特にCERN-ISOLDEでは、これらの光源を用いた超微細構造測定により、核構造、磁気モーメント、同位体の形状や大きさに関する情報が得られている。このような背景から、紫外域から近赤外域まで幅広い波長を同時に発生可能な、簡便かつ効率的な光源への需要が高まっている。光子とフォノンの非線形結合に基づく誘導ラマン散乱を利用した散乱型レーザーは、従来の反転分布型レーザーでは到達困難な波長域において単一周波数光を効率的に生成する手段を提供する。特に、ラマン散乱が多段階で連鎖的に起こるカスケードラマン過程では、励起光から第1ストークス光が発生し、その第1ストークス光が新たな励起光となって第2ストークス光を生成するという過程が繰り返され、広く離れた複数の波長を同時に得ることができる。ダイヤモンドは紫外からテラヘルツ帯までの広い透過域と大きなラマンシフト(約1332 cm⁻¹、約40 THzに相当)を有し、熱光学・熱機械特性にも優れるため、一体型共振器の媒質として適している。

従来の問題点

 しかし、従来の単一周波数ラマンレーザーでは、能動的に安定化された自由空間共振器が必要であり、高度なフィードバック制御や複雑な安定化機構を要するため、環境条件に敏感で装置が大型化するという問題があった。また、一体型共振器における波長可変な単一周波数ストークス光のカスケード発生は実証されていなかった。

解決方法と結果

 そこで本研究では、7 mm長の一体型ダイヤモンドファブリ・ペロー共振器を用い、温度制御によるカスケードラマン過程を実現した。励起光源として、Cobolt社製532nmパルスレーザー Tor XS(パルス幅3 ns、繰返し100 Hz、パルスエネルギー50 µJ)を使用した。その結果、第1ストークス光(573 nm、線幅300±35 MHz)と第2ストークス光(623 nm、線幅180±50 MHz)を同時に単一軸モードで発生させることに成功した。温度調整により第1ストークスで20 GHz以上、第2ストークスで40 GHzの波長可変範囲を達成し、第2ストークスの中心周波数揺らぎは50 MHz(RMS)以下に抑えられた。変換効率は第1ストークスで21.9%、第2ストークスで25.2%に達した。

※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。

使用された532nmパルスレーザー

1064nmパルスレーザー
1064nmパルスレーザー

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