Lian, E., Perivolari, E., Liu, Y., deMello, J.C. “A streamlined set-up for Lloyd’s mirror interference lithography, using a single-mode-fibre-coupled laser.” Microsystems & Nanoengineering 2026, 12, 230. https://doi.org/10.1038/s41378-026-01186-4
コヒーレントな光を重ね合わせ、生じた干渉縞を感光性樹脂へ転写するレーザー干渉リソグラフィは、周期が数百 nm の微細な構造を数 cm2 にわたり短時間で作製できることから、回折格子やフォトニック結晶、プラズモン構造の作製に広く用いられている。中でも、発散する光の一部を平面鏡で折り返し、直接試料へ届く光と干渉させるロイドミラー配置は、鏡と試料を同一の剛体架台に直角に固定できるため、機械的な振動が両者に等しく及び、光路差が乱れにくい。
しかし、従来のロイドミラー配置は、自由空間を伝搬するレーザーとレンズ・ピンホールからなる空間フィルタを組み合わせるため、ピンホールを集光点の中心へ正確に置く必要があり、ビームの向きがわずかに揺らぐだけで露光中に干渉縞が流れ、模様がぼやける問題点がある。指向安定性の高い高価なレーザーを要するうえ、ピンホールも小さすぎれば回折で波面を歪め、大きすぎれば空間雑音を通すため、径の選定が難しい。
そこで、本研究では、ファイバと恒久的に接合された偏波保持単一モードファイバ結合の 405 nm 狭帯域半導体レーザー(出力 20 mW、コヒーレンス長約 9 mm)を光源に用いることによって解決した。単一モードファイバは基本モードのみを伝搬させるため、出射光は空間雑音を含まない滑らかな発散ビームとなり、空間フィルタが不要となるうえ、ビームの揺らぎにも影響されない。回転ステージで入射角を変えて周期 218〜395 nm の格子を作り分け、ガラス基板上では 20 秒の露光で周期 406 nm・線幅 80 nm の均一な格子が得られた。なお本論文では、コヒーレンス長が数 m のファイバ結合レーザーを用いれば、より広い面積の描画が可能と述べられている。
※本記事は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)を、独自の構成で再構成した日本語要約です。
【用語解説】
- ロイドミラー配置:1本の発散するレーザー光の一部をそのまま試料に当て、残りを平面鏡で折り返して重ね合わせ、干渉縞を作る配置。光を二手に分ける素子が要らず、鏡と試料を同じ架台に固定できるため振動に強い、最も簡素な干渉リソグラフィの構成。
- 空間フィルタ:レンズで光を絞ってピンホールに通し、光学部品の塵や傷が生む細かな明暗の乱れを取り除いて、滑らかな波面を得る光学系。
- コヒーレンス長:光の位相のそろいが保たれる伝搬距離。発振周波数が一つに絞られた単一縦モードのレーザーほど長く、二つの光路の差がこれを超えると干渉縞が現れないため、干渉リソグラフィで描ける面積の上限を決める。

