Na₂O–CaO–SiO₂ガラス中のCe³⁺/Ce⁴⁺およびFe²⁺/Fe³⁺イオン間の相互酸化還元と配位サイト分配に関する光学的研究

Volotinen, T.T., Bayrak Pehlivan, I. “Optical studies of mutual redox and partitioning of coordination sites between Ce³⁺/Ce⁴⁺ and Fe²⁺/Fe³⁺ ions in Na₂O–CaO–SiO₂ glass.” Journal of Non-Crystalline Solids 593 (2022) 121749. https://doi.org/10.1016/j.jnoncrysol.2022.121749

背景

 ガラスの光透過性、色調、紫外・可視・近赤外領域における吸収特性は、添加されたイオンの酸化還元比や配位構造に強く依存する。鉄はガラス原料中に最も一般的に含まれる不純物であり、また琥珀色や緑色ガラスの製造において意図的に添加される元素でもある。Fe²⁺イオンによる近赤外領域での高い吸収は、高温でのガラス溶融過程における熱伝達に重要な役割を果たしている。15Na₂O–15CaO–70SiO₂(モル%)組成のガラスは、瓶や窓ガラスに使用される商業用ガラスと類似した特性を持つことから、研究対象として選定された。セリウムイオンは鉄イオンと相互酸化還元反応を起こし、最終ガラス製品の色調と透過率を制御する手段として注目されている。

従来の問題点

 しかし、Ce³⁺およびCe⁴⁺イオンの吸収スペクトルに関する報告値はガラス種によって異なり、多くの論文ではフィッティングパラメータが明示されていないという問題があった。また、鉄とセリウムの相互酸化還元がFe²⁺およびFe³⁺イオンの八面体・四面体配位サイト間の分配に与える影響については、十分に報告されていなかった。

解決方法と結果

 そこで、本研究では酸化雰囲気(電気炉)および還元雰囲気(ガス炉)で溶融した15Na₂O–15CaO–70SiO₂ガラスの吸収スペクトルを詳細に解析し、Ce³⁺およびCe⁴⁺イオンに対する再現性のあるフィッティングパラメータセットを新たに確立した。解析の結果、セリウム添加によりFe²⁺イオンの割合が20%から0%近くまで減少し、特に還元雰囲気で溶融したガラスにおいてFe³⁺イオンの四面体サイト占有率が増加することが明らかになった。蛍光発光スペクトル測定には波長355 nmのCobolt社製励起用レーザーを使用し、低濃度領域におけるFe³⁺およびCe³⁺イオン間の変化を確認した。Ce³⁺の発光ピークは4成分から構成され、Fe³⁺の発光ピークと明確に分離されることが示された。

※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。

ラマン分光で使用された355nmレーザー

355nmレーザー
355nmレーザー

その他の論文要約はCobolt論文検索ページをご覧ください。