Castro, M. A. M., Campelo, E. K. S. S., Melo, A. J. L., Teodoro, M. D., Silva, U. C., Tranquilin, R. L., Motta, F. V., Bomio, M. R. D. “Photocatalytic reduction of chromium (VI) using niobium-doped PVDF/TiO₂ nanofibers.” J Mater Sci (2026) 61:5947–5965. https://doi.org/10.1007/s10853-026-12204-1
石油の探査・精製に伴う水質汚染は重大な環境問題であり、特に重金属による汚染が深刻さを増している。六価クロム[Cr(VI)]は高い溶解性と移動性を持ち、発がん性・変異原性を有する有害物質として知られ、世界保健機関は表流水中の許容限界を0.05 mg/L以下と定めている。そのため、Cr(VI)をより毒性の低い三価クロム[Cr(III)]に還元し、水酸化物として沈殿除去する技術の開発が求められてきた。不均一系光触媒は、二次汚染物質を生成せず穏和な条件で反応が進行し、触媒の再利用も可能なことから、有望な浄化技術として注目を集めている。光触媒を高分子ナノ繊維に固定化する手法は、触媒性能の向上と使用後の回収を容易にする利点を持つ。電界紡糸法は、高比表面積と多孔質構造を持つナノ繊維膜を簡便かつ低コストで作製できる技術として広く用いられており、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は疎水性、機械的強度、化学的安定性に優れた高分子材料として知られる。また、酸化チタン(TiO₂)は低コスト・低毒性・高安定性を兼ね備えた代表的な光触媒として広く研究されてきた。
しかし、TiO₂は禁制帯幅が広く、光励起により生成した電子と正孔の再結合速度が速いため、光触媒活性が制限されるという問題点がある。
そこで、本研究ではゾル-ゲル法で合成したニオブ添加TiO₂ナノ粒子をPVDFナノ繊維に担持した複合材料を作製し、Cr(VI)の光触媒還元性能を評価した。複合材料の光発光特性評価には、励起光源としてCobolt社製355 nmレーザー(Zouk)を使用し、電子-正孔対の再結合挙動を解析した。その結果、1%ニオブ添加・2時間合成の試料は紫外線照射45分で99%のCr(VI)還元率を達成し、15回の再利用試験後も76%の性能を維持した。電子と水酸基ラジカルが主要な活性種であることが明らかとなり、重金属汚染水の浄化に有効な新規複合材料としての可能性が示された。
※本要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
ラマン分光で使用された355nmレーザー
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