Hong, H., Guo, S., Jin, L., Mao, Y., Chen, Y., Gu, J., Chen, S., Huang, X., Guan, Y., Li, X., Li, Y., Lü, X., Fu, Y. “Two-dimensional lead halide perovskite lateral homojunctions enabled by phase pinning.” Nature Communications 2024, 15, 3164. https://doi.org/10.1038/s41467-024-47406-1
背景
生きた細胞内の細胞小器官や巨大分子複合体の動態を観察するために、蛍光ナノスコピー(超解像顕微鏡法)の開発が急速に進められている 。超解像顕微鏡とは、光の回折という物理的制約によって制限されていた従来の光学顕微鏡の解像度(約200nm)を大幅に超え、数十ナノメートル単位の極めて高い空間分解能を実現する技術である 。この手法は、分子の蛍光状態を決定論的または確率的に光学制御することに基づき、10〜50 nmの解像度を達成している 。特に、可逆的飽和光蛍光遷移(RESOLFT)法は、可逆的スイッチング蛍光タンパク質(rsFPs)を活用することで、従来の超解像技術と比較して格段に低い光強度での撮像を可能にしている 。rsFPsとは、特定の波長の光照射により、蛍光を発するオン状態と発しないオフ状態を可逆的に切り替えられる特殊なタンパク質である 。この低光強度特性は、生体試料への光毒性や退色を抑えつつ、微細な構造を長時間にわたって観察できる利点を持つ 。また、広視野RESOLFT法を実装することで、広範囲の視野を高速に取得し、生命現象の動態を包括的に捉えることが可能となる 。これらの進歩により、細胞全体の3次元構造を時間軸とともに可視化する4次元イメージングの実現が期待されている 。
従来の問題点
しかし、従来の蛍光ナノスコピーは、強力な照明光による試料損傷、画像コントラストの欠如、視野の狭さ、あるいは記録速度の限界といった課題を抱えている 。広視野RESOLFT法においては、広域照明によって焦点外の平面からも不要な背景光が生じ、3次元試料における画像コントラストが著しく低下する 。また、並列化された発光点同士が近接しすぎることで信号の混信(クロストーク)が発生し、これを排除するために検出器のピンホールを絞りすぎると、光子収集効率が低下して信号対雑音比が悪化するという難点がある 。
解決方法と結果
そこで、本研究では個別に最適化された3つの光パターンを組み合わせたMoNaLISA(Molecular Nanoscale Live Imaging with Sectioning Ability)を開発することによって、高い光子収集効率と優れた光学的切片化能力を両立し、これらの問題を解決した 。MoNaLISAは、蛍光タンパク質のオン切り替えと読み出しに大きな周期の多焦点パターンを用い、オフ切り替えには微細な周期の定在波パターンを採用することで、信号の混信を最小限に抑えつつ、検出できる光子量を最大化した 。撮像の際には、蛍光タンパク質の状態を精密に制御するための光源として、Cobolt社製の405 nmおよび488 nmのレーザーが用いられた 。これにより、生細胞内において45〜65 nmの空間分解能で長時間の4次元撮像を達成した 。
※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
論文で使用されたCoboltのレーザー
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