Mukai, M., Miyadai, W., Matsubara, S., Aoki, T., Maruo, S. “Initiator-Free Recyclable Anthracene-Based Photocurable Resin Enabling Sustainable 3D Printing via Single- and Two-Photon Stereolithography.” ACS Omega 2026, 11, 14469−14478. https://doi.org/10.1021/acsomega.5c09643
光を当てた箇所だけを硬化させて立体物を造形するステレオリソグラフィーは、3Dプリント技術の中で最も高い精度をもち、持続可能な社会を支える基盤技術として近年急速に研究が進められている。とりわけ、二つの光子を同時に吸収させて重合を起こす二光子リソグラフィーは約100nmの分解能を達成でき、微小レンズ列や回折光学素子、メタマテリアル、細胞培養の足場など、多様な微細構造の作製に用いられている。
しかし、従来の樹脂は複数の反応基をもつ単量体が高度に架橋した網目構造を形成するため、加熱や溶媒で溶かすことが難しく、再利用が困難であるという問題点がある。再利用可能な樹脂も報告されているが、それらは光重合開始剤や添加剤を必要とし、再生のたびに薬剤を加えるため化学構造が変化して着色や機械的劣化を招き、再利用回数も1〜3回程度に限られるという問題点がある。
そこで本研究では、加熱により可逆的に解離するアントラセンの光二量化反応を利用することで、開始剤や添加剤を一切用いずに固体と液体の間を可逆的に転移できる無溶媒の液状樹脂を実現し、再利用の課題を解決した。この樹脂は逐次重合により硬化し、二光子リソグラフィーで微小針や兎の立体構造を造形でき、最小硬化線幅0.61μmを達成した。加熱溶融による再生を10回以上繰り返しても顕著な劣化は認められなかった。また単一光子方式でもピラミッド状構造を造形でき、両方式への適用性を示した。なお単一光子方式では、Cobolt社製の波長405nm青色半導体レーザーを光源として用い、樹脂を層ごとに硬化させる目的で使用した。

※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
ラマン分光に使用された405nmレーザー
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