Xue, F., Yuan, L., He, W., Xiang, Z., Ren, J., Shan, C., Li, S., Wang, M., Chen, L., Xu, P. “High-fidelity single-frame computational super-resolution using signal-preserving denoising-enabled deconvolution.” Nature Communications 17, 4056 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-026-70791-8
細胞骨格の繊維や蛋白質の複合体といった生きた細胞内の10〜100 nm程度の構造は、多くの生理・病態の過程を支えていることから、これらを生きたまま捉える蛍光顕微鏡法の研究が近年急速に進められている。超解像法のうち、回折限界の画像から計算で高分解能の像を推定する計算的超解像は、標準的な顕微鏡に実装でき、単一の画像から復元できるため時間分解能が事実上カメラの取得速度だけで決まる。像形成の物理を取り込むRichardson–Lucy(RL)デコンボリューションは、代表的で解釈しやすい手法である。
しかし、深層学習に基づく超解像は、大量かつ高品質な正解画像を学習に要し、低分解能から高分解能への対応付けが不良設定であるため、学習に含まれない試料では偽像を生じる問題点がある。RLデコンボリューションも雑音や点像分布関数のずれに敏感で、反復のたびに高周波の雑音を増幅し、回折限界の近くでは収束が悪い。疎性を前提とする手法も、多数の値の手動調整を要する。
そこで、本研究では雑音除去とデコンボリューションを二段に分けて解決した。可逆的に明滅する蛍光蛋白質の点灯・消灯を画素ごとに対応付け、乱雑な雑音は多フレームの平均で、一定の固定模様の雑音は画像集合の差分で取り除く単一画素同期切替(3S)法により、元の画素強度分布を保ったままSN比を5.8倍に高めた。これを正解として学習させた網(3Snet)で単一フレームの雑音を除き、RLデコンボリューションを施すことで、通常の広視野顕微鏡や共焦点顕微鏡で約60 nmの分解能が得られた。Cobolt社製の561 nmレーザー Jiveは、広視野系で405 nm・488 nmとともに蛍光標識を励起する目的で使用された。
※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。
【用語解説】
- 可逆的光スイッチング蛍光蛋白質(RSFP):特定の波長の光を当てることで、蛍光を出す状態と出さない状態を何度でも切り替えられる蛍光蛋白質。同じ画素における信号の有無を対応付けるために利用される。
- Richardson–Lucyデコンボリューション:点像分布関数(点光源が像面に広がる分布)を既知として、観測された像から元の物体の分布を反復計算で推定する手法。光子の統計に基づく尤度を最大化する。
- 固定パターン雑音:撮像素子の画素ごとの感度差などに起因し、フレームが変わっても同じ位置に同じ大きさで現れる雑音。時間平均では消えず、差分によって取り除く必要がある。

