多色多焦点3D顕微鏡における空間光変調器のその場最適化の使用

M. Junaid Amin, Tian Zhao, Haw Yang & Joshua W. Shaevitz. “Multicolor multifocal 3D microscopy using in-situ optimization of a spatial light modulator.” Scientific Reports (2022) 12:16343. https://doi.org/10.1038/s41598-022-20664-z

背景

 多焦点顕微鏡は、試料の異なる深さに位置する複数の平面を同時に撮像することにより、極めて高速な三次元空間の観察を実現する画期的な技術である 。この装置は、回折格子を用いて放出光を複数の光に分割し、それらを単一の受光素子上に並べて投影する仕組みを持つ 。それぞれの副画像は物体空間における固有の深さに対応しており、対物レンズや試料を物理的に移動させる必要がないため、振動による影響を抑えつつ瞬時に体積情報を取得できる点が最大の長所である 。本技術は光の回折限界に迫る高い解像度を維持しており、撮像器の性能限界に近い速度での撮影が可能であることから、多くの学術研究において高く評価されている 。空間光変調器は、光の位相を画素単位で精密に操作できる光学部品であり、これを動的な回折格子として活用することで、焦点間の距離や投影される画像の配置を計算機上で自在に変更できる 。このように、時間分解能と柔軟性を両立した三次元撮像手段は、微細な構造体が入り交じる複雑な生命現象や高速な物理過程を解明する上で極めて重要な役割を果たすものである 。

従来の問題点

 しかし、従来の多焦点顕微鏡で用いられる回折格子は、特定の単一波長に対して均一な光量が得られるように設計されている 。このため、設計波長とは異なる多色の蛍光標識を用いた場合、副画像間の強度に著しい不均一が生じるという問題点がある 。光量が不足した画像では、信号対雑音比が悪化し、重要な情報の損失を招く 。これを解決するために後処理による輝度補正や、色ごとに複数の光学系を構築する手法が提案されてきたが、計算負荷の増大や装置構成の複雑化が避けられなかった 。

解決方法と結果

 そこで、本研究では空間光変調器を回折格子として用い、その場で位相分布を最適化する処理手順を導入することで、複数の波長帯域において均一な画像強度を維持することに成功した 。この手法により、特定の校正設定に縛られず、任意の放出波長に対して高品質な三次元像を取得できる 。励起光源には、特定の波長で試料を照射するためにCobolt社製のレーザー発振器(488 nm、561 nm、647 nm)が使用されている 。この成果により、溶液中で拡散する微小粒子や、大腸菌とヒト肝癌細胞の相互作用を秒間2.5体積の速度で鮮明に三次元撮像することが可能となった 。

※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。

論文で使用されたCoboltのレーザー

488nmレーザー
488nmレーザー
561nmレーザー
561nmレーザー
647nmレーザー
647nmレーザー

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