Muraveva, V., Lomadze, N., Gordievskaya, Y. D., Ortner, P., Beta, C. & Santer, S. “Manipulation of artificial and living small objects by light driven diffusioosmotic flow.” Scientific Reports 14, 18342 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-69001-6
微小流体系における液体の駆動技術は、微量試料の操作や全自動化された分析装置の開発において近年急速に研究が進められている。固液界面近傍における溶質の濃度勾配が浸透圧勾配を生じ、それにより液体流を誘起する現象である拡散浸透圧流(diffusioosmosis)は、外部ポンプや電場を必要としない流体駆動法として注目されている。特に、光異性化する感光性界面活性剤を用いれば、光照射位置を変えるだけで濃度勾配を任意に形成でき、閉鎖系においても流れの方向と速度を可逆的に制御できる。この光駆動拡散浸透圧流(LDDO)は1 mW以下の低光出力で動作するため、生体試料への損傷が小さいという利点も有する。
しかし、従来の光駆動拡散浸透圧流研究で用いられてきた感光性界面活性剤は陽イオン性であり、生体適合性に乏しいため、細菌などの生きた微小遊泳体への適用が困難であるという問題点があった。また、従来の拡散浸透圧流の生成手法では、イオン交換樹脂や触媒粒子を用いる方法に限られ、時空間的な流れの制御が柔軟に行えないという課題も存在した。
そこで、本研究では生体適合性を有する非イオン性の感光性界面活性剤(AzoPEG)を新たに導入することによって、上記の課題を解決した。紫外光照射時には照射領域へ向かう内向き流、cis体富化溶液への青色光照射時には外向き流が生成されることを示し、流れの方向制御が可逆的に可能であることを実証した。Cobolt社製の波長488 nmレーザー(Cobolt 06-MLD)は、試料底面からの集光照射に用いられ、界面活性剤の光異性化を局所的に誘起して光駆動拡散浸透圧流を生成する光源として使用された。さらに、土壌細菌Pseudomonas putidaが本界面活性剤中で数時間にわたり運動性を維持することを確認し、光駆動拡散浸透圧流によって受動的な微小遊泳体や膠質粒子を集積できる一方、活発な遊泳体は膠質粒子の秩序構造を破壊することを明らかにした。
※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいており、査読前論文です。
光駆動拡散浸透圧流に使用された488nmレーザー
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