水中懸濁粒子の偏光特性計測のための偏光海洋シャインプルーフ・ライダー

Li, Z., Zhang, H., Yang, F., Yang, C., Liu, B., Tang, J., Wu, S. “Polarized ocean Scheimpflug lidar for polarization features measurement of suspended particles in water bodies.” EPJ Web of Conferences 2026, 362, 05005. https://doi.org/10.1051/epjconf/202636205005

背景

 水中に漂う懸濁粒子の大きさ・形状・濃度は、堆積物の輸送や水質、生態系の健全性を左右することから、海洋光学の分野で重要な観測対象となっている。粒子は不定形の凝集体から明確な幾何形状のものまで多様であり、その形状は起源や挙動を反映する。吸収係数や体積散乱関数といった固有光学特性に加え、光が粒子で散乱される際に生じる偏光状態の変化にも粒子形状の情報が含まれており、能動・受動いずれの遠隔計測でも基礎的な課題とされている。また、送光系と受光系の像面を傾けて配置することで近距離から遠距離まで全域で焦点の合った像が得られるシャインプルーフ原理を用いれば、連続発振レーザーでも距離分解した散乱計測が行える。

従来の問題点

 しかし、複雑な水試料や実際の水域を、現場あるいは実験室で迅速に偏光散乱計測できる装置が乏しく、粒子形状の違いを反映した偏光情報を高い時間・空間分解能で得ることが難しいという問題点がある。

結果

 そこで、本研究では四方向の細線格子偏光子を画素ごとに集積した撮像素子を、シャインプルーフ配置の受光系に組み込むことによって解決した。0度、45度、90度、135度の偏光成分を一度に取得し、ストークス法によって偏光解消度およびQ成分・U成分を算出する。光源にはCobolt社製のCWレーザー(波長532 nm、出力約50 mW)を用い、消光比100対1以上、出力変動2%未満の直線偏光した光を水中へ照射して、後方散乱光に生じる偏光変化を測る役割を担わせた。球形および不定形の二酸化ケイ素粒子を用いた水槽実験では、偏光解消度が水のみで約0.1、球形粒子で約0.22、不定形粒子で約0.6と明確に分かれ、偏光解消度とU成分の組み合わせにより三者を良好に識別できた。

※本記事は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)を、独自の構成で再構成した日本語要約です。

【用語解説】

  • シャインプルーフ原理:物体面・レンズ面・像面の延長が一直線上で交わるとき、斜めに置かれた物体面の全域に焦点が合うという結像条件。これを使うと、パルス光を用いずに連続発振レーザーでも光路に沿った距離分解計測ができる。
  • 偏光解消度:直線偏光を入射したとき、後方散乱光のうち入射偏光と直交する成分の強度を、平行な成分の強度で割った値。粒子の形状が球から外れるほど大きくなる。
  • ストークスパラメータ:光の強度と偏光状態を四つの成分で表す記述法。全強度に加え、二方向の直線偏光の差(Q成分)、45度傾いた直線偏光の差(U成分)、円偏光成分からなる。

偏光ライダーによる後方散乱計測に使用された532 nmレーザー

Cobolt 532nmレーザー
532nmレーザー