再生可能エネルギー最適化に向けたBayfol®フォトポリマー中の多重ホログラムによる太陽光制御

Mas-Abellán, P., Beléndez, P., Gea-Caselles, J., García-Vázquez, J.C., Nieto-Rodríguez, B., Lloret, T., Pascual, I., Khayet, M. “Tracking Solar Optimization in Renewable Energy Systems by Using Multiplexed Holograms in Bayfol® Photopolymers.” Polymers 18(6), 775 (2026). https://doi.org/10.3390/polym18060775

背景

太陽光は枯渇しない膨大なエネルギー源であり、脱炭素社会の実現に向けて太陽光発電の変換効率を高めることが重要な課題である。その有力な解決手段として注目されるホログラフィック光学素子(光の干渉で感光材料に記録した回折構造により、光の進む向きや波長成分を制御する薄い素子)は、薄型かつ安価で受光できる角度が広く、機械式の太陽追尾装置を用いずに太陽光を電池面へ導ける。さらに、一枚の材料に複数の回折格子を重ねて記録する多重化により、太陽光を波長成分ごとに分離・再配分する「太陽光の精製」も可能となる。

従来の問題点

しかし、従来の太陽光発電は光の入射角に性能が左右され、出力を保つには可動部を伴う機械式の追尾装置が必要で、費用や信頼性の面で不利であった。また、これまでの多重化ホログラフィーは主にホログラフィックレンズを用いる方式で、光が電池面の狭い範囲に集中し照明が不均一になりやすかった。

結果

そこで本研究では、厚さ約30 µmの市販フォトポリマーBayfol® HX121を評価し、空間周波数478本/mmの透過型回折格子をピーク間10°で角度多重化して記録した。記録にはCobolt社製の連続発振ダイオードレーザー(473 / 532 / 660 nm)を用い、光束を物体光と参照光に分けてフォトポリマー上で干渉させて回折格子を露光した。この三重多重格子と太陽電池を組み合わせた素子は、機械式追尾なしで受光角43°を実現し、素子を3つ並べれば129°の角度走査が可能であった。これにより電池面をより均一に照明でき、Bayfol® HX121が太陽光発電向け多重ホログラフィック格子の母材として有望であることを示した。

※この要約は、オープンアクセス論文(CC BY 4.0)に基づいています。

用語解説】

  • ホログラフィック光学素子(HOE):光の干渉パターンを感光材料に記録し、その回折で光の進む向きや波長成分を制御する薄い光学素子。レンズや回折格子の働きを一枚の膜で担える。
  • 多重化記録(multiplexing):一枚の記録材料の同じ領域に、条件を変えて複数のホログラム(回折格子)を重ねて記録する技術。材料が厚いほど多く重ねられる。
  • 受光角(アクセプタンス角):入射光の角度がずれても素子が有効に働く角度範囲。これが広いほど、太陽追尾なしで長い時間集光できる。

ホログラム記録に使用されたCoboltレーザー(473 / 532 / 660 nm)

473 nmレーザー
532 nmレーザー
660 nmレーザー

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